本日は「邦楽一心」の演奏会でした。邦楽一心の会を作ってから、もう10年になりました。
一人で自分の課題に取り組みながらの練習は勿論とても大事ですが、私は自分の吹奏を聴いて下さる、人の前に立って吹く事は、一人では得られない、非常に貴重な経験だと思っています。最初、自分自身の、限られた技術力で、私の演奏に、耳を傾けて下さる方が本当にいるのかどうかと悩み、最初の第一歩を踏み出す勇気が、なかなか出ませんでした。
ある日、犬の散歩で、あるおばあちゃんに出会った事が、第一歩を踏み出すきっかけとなりました。尺八の音色が好きと話を聴いて、是非とも聴かせて上げたいと言う気持ちが涌きあがりました。当時、自分の吹奏があまり上手ではなかったのに、喜んで手を叩いてくれたおばあちゃんが、励ましになりました。
そして、年配の方々が、好きで懐かしい曲を聴かせて上げたいと言う、心の中の思いが、ますます深くなり、老人ホームを訪ねるきっかけとなりました。
絃方との合奏をやり始めた頃から、尺八、絃の世界には、それぞれに様々な部分の考え方に違いがあり、単純に一緒にやりたいという場合にも、難しい事があると感じていました。外国から来ている私ですから、尚更にそう感じたのかもしれません。そこで私は、和気藹々とした雰囲気で練習出来る環境が欲しいと日々考えるようになり、その気持ちが邦楽一心と言う集まりの誕生へと繋がったのです。
邦楽一心と言う名前の由来は、心を一つに、ただひたすら、合奏、演奏を自由に楽しみたい人が集まって欲しいと言う願いの気持ちです。そのような考えの仲間を探してみると、同じ希望を持っている、お筝、三絃の人が集まりました。楽器同士の溝を無くし、互いに自由な立場で合奏を楽しむ事を目的とした集まりです。仲間を増やして、尺八(邦楽)を広め、それが皆の身近な存在になる事を一番の目標としています。